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st company代表 / 環 敏夫が「ルーツ」から「これからの未来」を語る #3
st company代表 / 環 敏夫が「ルーツ」から「これからの未来」を語る
# 3 「これからの未来」
※ #1 「st companyのルーツ」を見ていない方はこちらから
COSMIC WONDERが拠点を置く、京都府南丹市美山町の風景。
◼京都美山にあるCOSMIC WONDERを訪問して
移転先の建物は、3階建て、2階建ての2棟が連結した立体的な構造で、全フロアの総面積は、660平米でした。
元々は老舗の和菓子屋です。
3階の建物は店舗、製造工場スペース、倉庫、住居、
2階の建物は製造工場で働く社員の方たちの社員寮でした。
この空間をリノベーションして今までにない新たなお店、未来の服屋を作れるのではないかと思いました。
工事着工2017年3月から2018年3月オープンまでの1年間ですが、この1年間は長い様で短いあっという間の時間でした。
その1年の準備期間中、京都美山にあるCOSMIC WONDERの拠点を訪問しました。
京都駅から車で約2時間、距離にして80kmに位置するこの村でCOSMIC WONDERのチーム皆が暮らしていて、デザイン、制作、出荷まで行っています。
「日本の原風景」とも言えるこの美山のかやぶき集落の中で暮らすCOSMIC WONDER主宰の前田家族と過ごした3日間は何か大きなものを感じました。
今振り返ってみると、その時の体験やCOSMIC WONDERの存在はとても大きく感じていますし、私たちの活動に少なからず影響していると感じています。
2018年3月のオープンまでは多くの皆様に助けて頂き本当に感謝しています。
このお店のオープンは、今までの経験の中でも経験したことのない一大事業でした。
計画段階でもいち早く手を上げてショップインショップの展開に参加してくれてたブランドやメンバーは今もこれからも親戚関係として共に高みを目指していきたいと思っています。
2017年の冬。計画中の現場での打ち合わせ風景。
st company KIRYUがオープンするまでは産みの苦しみ、産みの喜びが同居していました。
何かを作り出す時、立ち上げる時は必ず存在するこの感覚。
オープンした時には大きな安堵感と達成感、そしてこれから新しい時代を生み出す、新しい服屋の時代を作るという意気込みが強くなりました。
本当の意味で自分の中のスイッチが入りました。
◼神様もこのお店のオープンを一緒に祝ってくれている
レセプションの日は沢山の人が集まってくれ、記念に残る感慨深い1日となりました。
2F cafeで行ったレセプションパーティー。
何より印象に残るのはオープンと同時にご来店くださった顧客の皆様。
オープン時間まで並んで待ってくれていました。
長い間st companyに通ってくれている方々です。
この建物には何か大きな力を感じます。
レセプションオープンの前の日には大雪が降り、そして当日の夕方には大きな円形の虹が出現して皆を驚かせました。
神様もこのお店のオープンを一緒に祝ってくれていると感じた瞬間でした。
この建物が常に上を向く意識を作ってくれ、自然と自分がその様な状態になってきています。
高みを目指すこと、人が輝くこと、そんな意識を作り上げてくれます。
レセプション当日の夕方、皆を驚かせた大きな円形の虹。この一時会場は歓声の後静まり、皆大きな虹に見入っていた。
本当に楽しいお店で、明日と未来を作り出す素晴らしいお店です。
私は、この店と共に生きています。
◼ECには頼らず、実店舗に磨きを
今、ファッション産業が変化を起こす時代になりました。
昨今の状況ではアパレルブランド、百貨店、商業施設が、オンライン、ECショップの強化を図っています。
その方法も1つかとは思いますが、自分はその動きが全てではないと思い、少し疑問を感じています。
インバウンドの人が来なくなったら、次はオンラインで全国の消費者の方を相手に販売する。
現店舗をもう一度見直していかないといけないと思います。
現店舗に足りない部分があるから、それが何なのか考え補い作り出すことが大事だと思っています。
もっと知恵を絞って店舗にさらに磨きをかける、そして人に磨きをかける。
実際に服に触れ、素材感、色目、デザインを肌で感じ、お客様と店舗スタッフとのコミュニケーションから生まれるてくる感覚。
体験型の実店舗があってこそ、そのお店のECサイトが初めて活きてきます。
もっと面白い発想で面白いお店作りをしたら、絶対に人は集まります。
お店としての魅力がないから人が集まらないのです。
そこに大きな落とし穴があります。
◼人類は空想人
アパレルだけでなく、他の産業、すべての業種が今の時代「人」に代わりAIが進化して様々な事業で使われてきています。
そして新しいお店のあり方が問われていると感じています。
国内のマーケットでも多店舗展開、インバウンド狙い、出店ラッシュなどが相次いでいましたが、今回の一件があり、今後は身の丈にあった店舗運営が見直されてきます。
弊社でも他にはない、独自路線での一番を作り上げることを目指しています。
お客様本位、社員本位、取引先本位で考えていくと、自然と正しい答えが出てくるのではないかと。
人間は知恵を使い創造することのできる生き物で、0ゼロから物事を考え作り出すことができます。
人類は「空想人」です。
これは、AIにはできない事です。
◼転んでもまた立ち上がる
今回の感染症問題で、厳しい側面を迎えている大手企業も多く存在します。
自分が思うに事業展開の方法が、株主目線ではダメ。
お客様目線で物事を考えること。
皆んながワクワクすることを考え、形にしていくこと。
怖がって前に進まないのは絶対ダメ。まずは行動に移す事。
そこで失敗をしても、転んでも、また立ち上がれば良い。
そして、また転ぶかもしれないし、また怪我をするかもしれない。
そうしたら、また立ち上がれば良いんです。
自分は過去の失敗の数が誰よりも多いと思いますし、それと同時に立ち上がった回数も多いと自負しています。
「無駄骨をどれだけできるか」が必要なんじゃないかと思います。
◼桐生への移住者
桐生にも新しいお店を作る若いオーナーさんが増えてきています。
st company KIRYUの隣に店を構えた「ふふふ」さんや、約300m離れた同じ通りには当店でも取り扱いのある「hirari」さんは、昨年桐生に移住してきて活動を始めています。
良いお店作り、より良い未来を作ろうとしています。
隣の店舗「ふふふ」。ファッションデザイナー夫婦が東京から移住してオープンしたアトリエ兼ボードゲームカフェ。
彼らも少なからず今回の感染症問題で影響を受けています。
今までの経験を生かして自分がまず最初に動き、その行動が少しでも彼らに対し正しい道しるべとなればと思っています。
彼らは私たちの地元桐生に移住し、活動を始め街を共に活性化させていく仲間です。
出会い、人と人との繋がりは1番大事で、これからも共に活動をしていきたいと思っています。
全行程を自身の手で行うプロダクトブランド「hirari」のアトリエ兼店舗。
「今がチャンス、こんなチャンスはない」という考え、発想を共有していきたいです。
自分は1990年代の氷河期を経験しているから、今回の感染症問題もさほど怖くはないです。
今のこの状況でも、前向きに日々を過ごしています。
自分自身に不安要素が少ないので、自然とst company社員皆の不安要素も少なくなっているのを感じています。
◼リセットの繰り返しによる進化
自分は、常に「リセット」する事を心がけています。
日々、毎月、毎年、「リセット、リセット」
その繰り返しです。
21世紀で通用するお店は、常にリセットして新しい発想をして未来を描き、進化していくことが必要となります。
後は、「皆んながワクワクすることは何なのか?」
ただ、それを考えるのが好きなんです。
デザイナーの方たちとも同じ目線で一緒に物事を考えています。
自分の場合、取引先との関係性の中で、「ブランド」、「会社」という枠組みの中での付き合いという意識はなく、皆さま各個人「人」としてお付き合いさせて頂いています。
その「人」個人が魅力的かどうか。
まだまだ才能ある面白いデザイナーに会えるのが楽しみですし、次なる「人」との出会いが進化を生み出します。
未来を作るのは次なる「人」と会うことです。
◼目指すは、「田舎の日本一」
今回の件で「リモート」で効率化した企業なども多くあるかと思いますが、そこにも違和感を感じています。
やはり、そうではなく人と直接会って、膝を詰め合わせて話し合う。
このことがとても幸せな事で、大事な事だと思います。
日々のニュースを見ていると、色々と疑問に感じることが多くあります。
多くの不安を抱えながら生活を送っていて、仕事も不安にかられながら取り組む。
その現状は、本当にこれで良いのかと。
食事は笑顔で楽しく、色々な話題、色々な喜びを共感するのが本来の会食。
楽しい事、ワクワクする事を想像しながら日々を過ごす事ができる日々が本当の理想です。
ファッションに携わる人たちの明るい未来を一緒に作りたいし、
お店に遊びに来てくれるお客様の笑顔が見たいじゃないですか。
料理人が新メニューを考えるのと同じで、
服屋の役目は、お客様が喜ぶ服、服を着て笑顔を作ってもらうこと、それ以外には何もないです。
今回の感染症問題もこの店st companyがあるからこそ不安感が少なからず和らいでいると思います。
4月、5月と過ぎて、6月17日今現在でも私自身、心身共に健康であることが幸せです。
今の状況下で、この建物の持つ計り知れない力を私は強く感じています。
これからお客様にもっと楽しい場所を提供できるように、来年の3周年に向けてまだまだやることが沢山あります。
st company社員皆とこれから来たる明るい未来に向かって、新しいものを作り上げていきたいです。
社員にも夢を与えたいし、私自身が「夢見る爺さん」です。
70歳になった今も、お客様、取引先、関係者の皆様、今の社員と一緒にこのお店をやれているのが本当の喜びです。
これからも自分の歩幅で、身の丈にあったやり方で「田舎の日本一」を目指していきます。
出るか、出ないか分からないお化けを怖がるのではなく、その時に考える。
その時の備えをしておく事が大事だと考えます。
st company代表 / 環 敏夫が「ルーツ」から「これからの未来」を語る
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